ぼんやり生きてる

読んだ本の備忘録を残していこうと思います

『下北沢』

学生時代によく通っていた下北沢。

再開発が進む前の下北沢。

まだ地上に小田急線が走っていて

どこの出口から出ようかいつも迷っていた街。

 

 

雑多な、がやがやした、だからこそほっとするのが下北沢。

集まる人はがちゃがちゃしていて

一筋縄ではいかない人たち。

 

再開発が進んで、

小田急線が地下化されて

なんだか整ってしまった下北沢も悪くないけど

わけわかんない感じでがちゃがちゃしていた下北沢が好き。

 

そんな時代の下北沢の話。

あー、懐かしいなー

そうそう、こんな道あった

こんな店あった

懐かしさと一緒に読める話。

 

見捨てられない人がいる。

でも仲間として見られるのはイヤ。

気にかけてはいるけど他人でいたい。

お互いが持ちつ持たれつ生きている。

 

人の温かさが心にじんわりくる一方

どこか切なくなる。

終わりはバタバタ駆け込んでいくけど

主人公の誠実さが良い。

 

最後に語る愛の形が、

このがちゃがちゃした街にあっている。

 

 

次は『虚ろな十字架』東野圭吾